規準と兆候3

基準が満たされていても、その命題が真でないことは起こりうる。たとえば、机の上に本が二冊あることを自分の目で十分に確かめたにもかかわらず、手を触れた途端にその本が消えてしまったというような場合は、ありそうにないことではあるが、論理的には可能である。だが、こうしたことがいつでも生じるとしたら、そのときには、「机の上に本が二冊ある」といった類の命題が何を意味しているのか、われわれは理解できなくなるだろう。つまり、基準は、命題の意味を構成する。


飯d田隆『ウdィトゲンシdュタイン 言d語の限界』PP183-184