だから説明すれば説明するほど

だから、科学的に、正しいことを、説明すれば説明するほど、逆効果になる。
その説明が素晴らしく科学的医学的に正しいほど、絶対に納得してはいけない、という力が働く、だろう。
(むしろ怒ったり怒鳴ったりして取り乱してくれた方が、もちろん型通りの軽蔑や一般人の化けの皮が剥がれたという定型的な感情が出てくるとはいえ、その下に親近感がわいてくる、というものではないだろうか。)
その科学、その正しさ、そういうものからこそ、彼らは、隔てられているからだ。
その科学、その正しさ、そういうものにこそ、彼らは、無力感を、屈辱を、味わわされてきたからだ。
つまり逆に、我々が、あちらに、理解を示そうとしたら、そうかそうかと歓迎されはしない。
科学、正しさ、こちら側のやり方で力を得ることのできる我々、力を得ようとしている我々、そういう私たちが、あちら側のことを、簡単にわかったら、むしろだめなのだ。
我々は、向こうを、簡単には、理解することはできない。
私たちの正しさ、私たちの科学、私たちの医学、私たちの経済、そういうものを捨て、あちら側への帰依を示してはじめて、あちら側を理解する許可が得られる。