人がマッサージされる映像

人がマッサージされる映像を見ると、マッサージされているのは自分ではなく他人で、しかもいまマッサージされているのではなく、マッサージが行われたのは過去のことだが、自分がマッサージをされているような気にはならないにしても、心が安らぎ体が柔らかくなる感覚に手が届く位置まで来たような気になる。
同じように、人がはしゃいでスキンシップ、というか、子どもが本当に楽しそうにじゃれあっているのを見ると、じゃれあっているのは自分ではなく他人同士だし、私はもう長い間で他人個人と話したことはないのですが、そういう私でも、まるで他人と心底楽しそうにじゃれあっているような心境にに手が届く位置まで来たような気になる。
youtubeなどでマッサージ動画を見るのもいいものです。見ませんが。

こういうとき『エチカ』を思い出します。
『エチカ』には、自分と近い人が喜びの感情を持ったら自分も喜びの感情を持つ、ようなことが書かれていたような記憶がありますが、この、近い者が、感情の影響をそのまま受ける、同じように染まっていく(敵の場合は逆の影響を受ける(敵が喜べば自分は悲しみに包まれる、など))ことを、読んでいるときはほぼそのまま受け入れていましたが、いろいろ考えられそうです。考えられないかもしれません。いま中村さんの『原始仏典』を読んでいるのですが、想像以上の凄まじい穏当さに驚きを禁じえず感動したので『エチカ』も再開してみようかなと思っていますがそうする時間がなさそうなのが残念です。じゃあ何をする時間があるのかというと何もないのですが。