「斉一性の原理」という根拠の妥当性

過去に関する陳述によっては、将来何かが起こることに確信がもてない、と言うひとを、わたくしは理解しないであろう。ひとはそのようなひとにこう問うことができよう。いったいあなたはどういうことを聞きたいのか、いったいあなたはどういうことを「確信」と呼ぶのか、どのような種類の確信をあなたは期待しているのか、――もしこれが根拠でないのなら、いったいどういうことが根拠なのか、と。――それは根拠ではない、と言うのなら、われわれの仮定には現に根拠がある、とわれわれが正当に言えるような場合がどういうものでなくてはならないのか、あなたは述べることができるのでなくてはならない。

 注意せよ、根拠とは、ここでは、信じられていることがそれから論理的に導かれてくるような命題ではないのである。

 ただし、信ずるためには、知るためよりも少しのことしか必要でない、と言うわけにはいかない。――というのは、ここで問題になっているのは、論理的な推論へ接近することではないからである。


ウィトゲンシュタイン哲学探究』第一部 481