実感と法則

物を押すと押した方向に動く、ということは法則以前の実感だ、として、物の動きと物の動きを起こさせる力との関係については、法則となり得る(たとえば、F=ma)とすると、何らかの方法によって導き出された法則が、当初の根底的実感だったことと反する結果になったら、どうなるのだろうか。あるいは、実感があるからこそ成り立った法則なのだから、実感に反する法則にはならないのだろうか。実感に反しても法則が成り立つと考えることができるとき、その法則は何によって正当化されるのだろうか。観測データによってか? 観測データによって法則が支持され、その法則は実感と反する、という場合は、観測データが、実感と合っていない、ということだろうか。「重いものも軽いものも落下速度は同じ、という法則は、重いものほど速く落ちるという実感に反している」ことについて、ここでもう一度考えてみる。