法則に「自然の斉一性原理」を付け加えることについて2

  • y=-\frac{1}{2}gt^2+vt+p
    • y:ボールの位置(y位置、地面からの高さ)
    • g:重力加速度
    • t:時間
    • v:ボールを投げ上げた速度(鉛直上向きに投げ上げた速度)
    • p:初期位置(初期y位置、地面からの高さ)

この式は、鉛直上向きにボールを投げ上げたときのボールの動きを表現する式(法則)です。この式には変項として時間が含まれているから、あらゆる時刻について成り立つ式、あらゆる時刻について考慮されている式、ということになると思います。しかしたとえば、まだボールを手に持っていてボールを投げ上げていないときに上の式は成り立つわけではなくて、上の式はボールを投げ上げた後についての式です。また、投げ上げられたボールが地面に着きそこでボールが止まってしまうとこの式は成り立たなくなりますから、この式は、ボールが地面に着く前までについての式ということになります。つまり、上の式にはいろいろな条件、適用範囲の制限があるわけです。では、そうした適用外範囲をすべて明示できれば、それ以外のあらゆる場面で上の式は成り立つのかというと、経験的には成り立たない可能性は大いにありますが、一応法則としての想定からすれば、適用されない場合として示されている場合を除けば、あるいは、適用範囲として示されている範囲の中では、あらゆる場面で成立する、とされているわけです。
ところが、そうしたことすべてを含めたことが、今から5秒後には成り立たなくなるかもしれません。ここでは成り立ったが、ここから5m移動した場所では成り立たなくなるかもしれません。そういう想定は可能です。そういう想定は可能ですが、上の法則に関しては、今のところ、そうした観測はされていません。いまのところ、なぜか、そういう観測結果がないだけで、これからどうなるのかはわかりませんが、今のところ、今までの法則がいきなり成り立たなくなった、というデータはありません。だから、上の法則に付け加えて、上の法則は成り立ち続ける、という、自然の斉一性原理が必要とされるというわけです。自然の斉一性原理がなければ、上の法則は、すぐに成り立たなくなるかもしれないと考えることができてしまうので、法則として役立たなくなるから、無意味になるから、法則ではなくなるから、です。


※上は「自然の斉一性原理」の意味を間違って理解している
 →http://d.hatena.ne.jp/vjrc/20070520#p1