意志

「手が上がる」と「手を上げる」は違う。
「手を上げる」から「手が上がる」を引くと、何かが残るように感じられる。
それは「手を上げる意志」ではないか、と一応は思います。
では「手を上げる意志」とは何か。
目を閉じ、手を上げようと思い、手が上がった感じを腕の筋肉に感じ、手が上がった、と思い、目を開けてみると、足が上がっていた、ということが考えられる。
この場合、手を上げた、ことになるのか。手は上がっていないので、手を上げてはいませんが、では、手を上げようとした、ということになるのか。
それはなる、手を上げようと思ったのだから。
ということは、手を上げようとして手が上がったときと、手を上げようとして足が上がったとき、ときがあることになる。ということは、足を上げようとして足が上がるときと、足を上げようとして手が上がるときもあることになる。
手を上げようとして、足が上がり、足を上げようとして手が上がる人が、これでは不便でたまらない、と思い、手を上げるべき時には足を上げようと思って手を上げ、足を上げるべき時には手を上げようとして足を上げ、なんとか自分の意図するときに手足を操作できるようになった、とする。この人は手を上げたいときに手を上げられるようになった。
手を上げたいときには足を上げようと意志して手を上げる。これは結局手を上げようと意志して手を上げている、ということではないのか?