闘わないコミュニケーション

 今回の会議を通して、対立ではなく、歩み寄るコミュニケーションの在り方を実感できました。これを、前に私自身が教わり、実感しているプロセスを皆さんに紐解くと、そこには4つの段階があるといえます。
 
第1段階:価値の優先順位を理解する
 それぞれの「価値の優先順位」がわかること。つまり、「自分はそうは思わないが、相手の価値観に照らして、相手がそう思うことは理解できる」という状態です。こうするには、まずは、理性的に(つまり感情的に価値観を判断するのではなく)それぞれの立脚している価値観を理解することが必要になります。
 
第2段階:発想
 次の段階は、「発想」です。つまり、それぞれの価値観に沿った考え方。価値の優先順位に由来した考え方を理解できると、相手の考え方の正当性を認めることができます。
 
第3段階:双方の主張
 それぞれの主張は、それぞれの価値の優先順位とそれに基づく発想から生まれてくる状況がわかると、相手の主張もしごく自然に受け止めることができます。相手の価値観のレベルを理解し、相手の思考プロセスの正当性を認めているわけですから、「理解できない」「絶対に許せない」というような感情的なことにならないといえます。
 
第4段階:合意形成
 現実に可能かどうかはともかくとして、お互いの正当性を段階的に認め合った結果、お互いに歩み寄り、合意形成をおこなうのはとても楽になります。そして、ここで生まれる結果は、勝ち負けではないはずです。第三者的には、買った、負けたの判断がでてくるかもしれませんが、対話のプロセスをたどってくると、当事者は、感情的に平静でいられるわけです。
(中略)
 対話は合意形成を目指すべきものですが、対話をしたからといって、合意形成ができるとは限りません。合意形成できないから、対話が無意味かというと、そうではありません。対話のプロセスにおいて、相手の意見や価値観の成り立ちを知り、そこに正統性が認められるかどうかを考え、歩み寄りのポイントを探すのには、大きな意味があります。潜在的な問題の所在がすべて明らかになるし、何よりも相手の言い分を深く理解することができるからです。
 
http://www.nikkeibp.co.jp/article/hco/20131024/370439/