中期から後期へ

文法における語の位置がその語の意味である、と私は説明したい。
しかし、語の意味とは意味の説明が説明するところのものである、とも言える。
(中略)
意味の説明は語の使用を説明する。言語における語の使用こそがその語の意味である。文法は言語における語の使用を記述する。
それゆえ、言語と文法との関係は、ゲームとゲームの記述との関係、つまり、ゲームの規則との関係に似ている。
(『文法』二三節)

だから実は、文法における語の位置がその語の意味ではないのだ。なぜなら、文法は語の使用の仕方を一般的に記述し説明するが、その語のほんとうの意味は、言語ゲームにおける語の使用そのものの内にしか示されないからである。ゲームは記述されなくても(つまり規則体系として説明されなくても)遂行されうる。

『ウ入門』P132