日記

吉田寛ウィトゲンシュタインの「はしご」』つづき。
これまでに見たどの入門書解説書よりも『論考』を理解するのに役立つような気がします。この本だけだと網羅感には乏しいので、『論考』だけでなく、『入門』『こう考えた』『読む』を読んだほうが理解は深まると思いますが、この3冊の入門書よりも、写像理論、真理関数の理論の勘所、「命題」は可能性(論理空間)に関わり「名」は実在にかかわること、などが実感を伴って理解できるように思います。初めはそれなりに異物感のあった用語、「事実」や「事態」や「名」や「要素命題」などに、入門書解説書の安易な読みすぎで慣れきってしまい、特に疑問も不思議も感じることなしに目の前を素通りさせていたことに、『ウィトゲンシュタインの「はしご」』を読んで気付かされたように思いました。写像理論、真理関数のような有名な概念同様、『論考』そのものについても、なぜ『論考』が画期的なのか、『論考』のどこが良いのか、についてはいままでほとんど理解できなかったし感じることもできませんでした(『読む』を読んでもわかりませんでした)が、「はしご」を読み終えるころには、何かしらわかることがあるのではないか、と期待しています。


『論考』は文字を読むだけなら、文字数は少ないし、読む前の印象(特に「6.真理関数の一般的な形式は、〔 p,ξ , N(ξ)〕である。」は、読むのをあきらめさせるに十分なインパクトがある)よりは、意外と理解できた気にはなれると思います。