書き出し

山田が幹事として示した態度は、サプライズパーティーへの批判であった。これは、初めてではないとしても、画期的な態度の変更である。山田は、誰かが何かを知らないということ、誰かだけが知っていることがあるということ、誰かだけが知っていればそれでいいという考え方に、我慢がならなかった。誰もがすべてを常に知っているべきだ、という固い信念を持っていた。どんな小さな催しでも、少なくともひと月前には、必ず本人に知らせた。企画会議には、本人どころかその家族までも呼び寄せ、企画の詳細を錬りに練った。そしてその企画会議のどんな小さな内容も、一切省略することなく、すべてを全員に伝えた。一部の人間だけで処理しておけばそれでいい、そんな情報はこの世にひとつもない。