サプライズパーティーは存在しない2

トイレから帰ってきたら部屋が真っ暗で……、で始まる誕生日パーティーをサプライズと呼べるかどうか。トイレから帰ってきた本人が、普段周囲から激しい暴力を受けていたとすると、みんなが「ハッピバースデー……」と歌ったとしても、恐怖は消えません。全員から誕生日プレゼントをもらったとしても、包みを解くと血だらけの包丁が出てきそうだと思うに違いありません。仮に本人が大好きな映画のDVDが入っていたとしても、まだ恐怖は去らないでしょう。つまり、サプライズパーティーが、サプライズパーティー本来の目的を達成しようとするなら、サプライズ以前の文脈がどうしても必要になるのではないか、と考えざるを得ないのです。サプライズ以前の文脈が、自分が誕生日を祝われるにふさわしい存在だということになっていれば、いくらみんなに秘密にされていたとしても、トイレから帰ってきたら部屋が真っ暗だとしても、単に誕生日を祝われる存在が誕生日を祝われただけであり、全くサプライズではありません。サプライズにそれほどの重い意味はない、のかもしれません。しかし、やはり、全く祝われそうにない人が祝われることこそが、サプライズと言われるべきではないでしょうか。べきだとは私も全く思っていませんが、それは全くサプライズではない、むしろアローング(……?)だ、と言いたくなることが、まあないですけど……。


「祝われる(いわわれる)」で合ってるでしょうか。「お祝いされる」ならわかりやすいのですが。