自分が青色を見ているときに感じている青は他人が見たら赤色を見ているときに感じている赤かもしれない問題

結論だけ書くと、物体の色を見たときに心の中で感じる色はそれ自体で独立した色となることはできず心の外の物体の色と結び付けて理解するしかない、ということになると思います。
青い物体を見たときに心の中で感じている青をそれだけで独立したものとみなし、青い物体を見たときに心の中で感じている、ということから切り離してしまうと、他人なら赤い物体を見たときに心の中で感じている赤かもしれない、ということも想定できるようになってしまいます。
しかし、青い物体を見たときに心の中で感じている青(状態A)というのは、青い物体を見たときに心の中で青(状態A)を感じるときであれ、赤い色を見ているときに青(状態A)を思い出すことであれ、目を閉じて青(状態A)を想像することであれ、「青い物体を見たときに心の中で感じている」ということから切り離すことはできません。「青い物体を見たときに心の中で感じている」ということがなければ、この3つの状況において、いったい何を感じているのか、いったい何を思い出しているのか、いったい何を想像しているのか、特定することができなくなります。
この、「青(状態A)」は、「青い物体を見たときに心の中で感じている」ということから切り離すことはできません。
私が「青い物体を見たときに心の中で感じている」青は、実は、他の人なら青い物体を見たときに心の中で感じている青(状態A)ではなく他の人なら赤い物体を見たときに心の中で感じている赤(状態B)だとしたら、この「赤(状態B)」とはいったい何か、となると、脳の特定の位置の特定の状態、のような、物体的な状態を想定せざるを得ません。しかしこの想定は最初の問題と矛盾します。これはそもそもそうした物理的状態に還元できない、ということが問題だったからです。

  • 自分が青色を見ているときに感じている青は他人が見たら赤色を見ているときに感じている赤かもしれない問題
    • 青色を見ている=「赤」を感じる≠「青」を感じる
    • 信号の青色を見て進む=「赤」を感じる≠「青」を感じる
    • 青色を見て脳の特定の位置が特定の状態になる=「赤」を感じる≠「青」を感じる
    • 青色を見て食欲が減る=「赤」を感じる≠「青」を感じる

「青い物体を見たときに心の中で感じている」とは、物理的には現れないかもしれないが何らかの心的状態であり、その状態が、他の人なら赤い物体を見たときに心の中で感じている状態なのだ、と考えるとしても同じです。何らかの心的状態にある、ということがどのようなことであれ、青い物体を見たときに心の中で感じている青は、「青い物体を見たときに心の中で感じている」ということから離れることはできません。
つまり、「青い物体を見たときに心の中で感じている」ことと「青(状態A)」は一致しており、「青い物体を見たときに心の中で感じている」における「青い物体」とは何かというと、晴れた日の昼間の青い空であり、450nmの波長を持つ光であり、アップフロントインターナショナルFC部から送られてくる封筒の色、であるしかない、というわけです。
では例えば、ある日急に、今まで赤く見えていたさくらんぼや郵便ポストが、自分にだけ青く見えるようになったとしたら、どうでしょうか。