スピノザの決定論と自由

http://www.sanynet.ne.jp/~norio-n/NIKKI/85.html

柄谷行人氏は『トランスクリティーク』で、カントが第三アンチノミーの正命題
(人間の行為の自由を認める)と反対命題(スピノザ決定論)をともに承認した
ことは「括弧入れ」を考えれば別に難解ではないと書いている。正命題は自然的因
果性を括弧に入れて行為を見ることであり(実践的立場)、反対命題は人々が自由
だと思うことを括弧に入れて行為の因果性を見ることである(理論的立場)。だか
らそれらは両立しうる。《理論的領域と実践的領域がそれ自体としてあるのではな
い。それらは、理論的あるいは実践的立場によって存在するのだ。》(169頁)